「ETFと投資信託は何が違うのか」「初心者にはどちらが合うのか」と迷う人は少なくありません。
どちらも、1つの商品を通じて複数の株式や債券などへ投資できる金融商品です。大きな違いは、ETFが証券取引所に上場していること。そこから、買い方、価格、積立方法、分配金の扱いなどに違いが生まれます。
この記事では、ETFと投資信託の違いを初心者向けに比較し、自分に合う方法を考えるためのポイントを整理します。
ETFと投資信託の違いを30秒で整理
- ETF:証券取引所に上場し、取引時間中に市場価格で売買する
- 一般的な投資信託:取引所には上場せず、原則1日1回算出される基準価額で取引する
- ETFが向きやすい人:価格を見ながら注文したい、保有コストを比較して選びたい人
- 投資信託が向きやすい人:少額積立や自動積立、分配金再投資などを使いたい人
どちらが常に優れているわけではありません。同じ指数に連動する商品でも、売買方法・コスト・分配方針・積立のしやすさが異なるため、自分の運用方法に合うかで比較します。
※本記事は金融商品の一般的な仕組みを説明するもので、特定の商品や売買を推奨するものではありません。
編集部の一次情報照合・ケース検証記録(2026年9月26日)
本記事では、同じ投資対象に連動するETFと投資信託を比較する前提で、①毎月定額を積み立てる場合、②市場価格を見て指値注文する場合、③分配金を再投資する場合の3つに分け、注文方法・費用・積立・再投資・NISAの違いを確認しています。
2026年9月26日、Market AI編集部は日本取引所グループの「ETFと他の投資信託の違い」「基準値段等に関する情報(ETF)」「乖離をチェックする」と、金融庁の「つみたて投資枠対象商品」を再確認しました。ETFの取引価格・取引時間・成行/指値、基準価額と市場価格の関係、NISA対象商品の最新情報を本文の比較表と照合しています。実売買は行っておらず、公開一次情報を照合したケース検証の記録です。
ETFと投資信託の違いを比較
| 比較項目 | ETF | 一般的な投資信託 |
|---|---|---|
| 上場の有無 | 証券取引所に上場 | 原則として非上場 |
| 主な購入場所 | 証券会社 | 証券会社、銀行など |
| 取引価格 | 取引時間中に動く市場価格 | 原則1日1回算出される基準価額 |
| 注文方法 | 指値・成行注文など | 金額または口数を指定して申し込む |
| 注文時の価格 | 市場価格を確認できる | 適用される基準価額は未確定の場合が多い |
| 最低購入金額 | 市場価格×売買単位 | 少額の金額指定に対応する商品が多い |
| 積立 | 対応する証券会社・銘柄で可能 | 定額の自動積立を設定しやすい |
| 売買時の費用 | 売買手数料やスプレッド | 購入時手数料や信託財産留保額など |
| 保有中の費用 | 信託報酬・経費率など | 信託報酬・総経費率など |
| 分配金の再投資 | 原則として自分で買い付ける | 再投資コースを選べる商品がある |
| NISA | 対象商品なら利用可能 | 対象商品なら利用可能 |
| 主な注意点 | 市場価格と基準価額の乖離、流動性 | 注文時に約定価格が分からないことがある |
これは一般的な違いです。最低購入金額、積立対応、手数料などは商品や金融機関によって異なります。
ETFと投資信託でよくある勘違い
「ETFなら必ず手数料が安い」
ETFは信託報酬が低い傾向にありますが、商品によって異なります。売買手数料やスプレッド、外国ETFなら為替関連費用も含め、同じ投資対象の商品同士で比べる必要があります。
「分配金が多いETFほど有利」
分配金はファンドの資産から支払われるため、受け取った金額だけを利益とは判断できません。分配後の価格や基準価額、保有中の費用を含むトータルリターンで確認することが大切です。
「投資信託は好きな時に売れない」
一般的な投資信託も、原則として販売会社を通じて換金を申し込めます。ただし、ETFのように取引時間中の市場価格を見て売るのではなく、商品ごとの締切時間や後から決まる基準価額が適用されます。
ETFも投資信託の一種
ETFは「上場投資信託」と呼ばれ、投資信託の一種です。
どちらも、投資家から集めた資金をまとめ、株式や債券などで運用する仕組みを持っています。1本の商品に複数の資産が組み入れられていれば、個別株を1銘柄だけ持つ場合より投資先を分散しやすくなります。
最大の違いは上場の有無です。
- ETF:証券取引所に上場している
- 一般的な投資信託:証券取引所に上場していない
日本取引所グループも、ETFと一般的な投資信託では、取引価格、取引時間、発注方法などが異なると説明しています。日本取引所グループ「ETFと他の投資信託の違い」
売買方法はどう違う?
ETFは取引所で売買する
ETFは、証券会社を通じて証券取引所へ注文を出します。
取引時間中は市場価格が動いており、株式と同じように主に次の注文方法を使えます。
- 指値注文:希望する価格を指定する
- 成行注文:価格を指定せず、成立可能な価格で注文する
希望価格を指定できるのはETFの特徴ですが、指値に届かなければ売買は成立しません。成行注文も、売買の少ない銘柄や相場が大きく動く場面では、想定と離れた価格で成立することがあります。
売買前には価格だけでなく、売買高や買い気配・売り気配も確認したいところです。
投資信託は販売会社へ申し込む
一般的な投資信託は、証券会社や銀行などの販売会社へ購入・換金を申し込みます。
「毎月1万円」のような金額指定に対応する商品が多く、自動積立を設定しやすいのが特徴です。少額から購入できる金融機関もあります。
一方、ETFのように「この価格になったら買う」という注文はできません。申込締切時間や約定日は商品ごとに異なるため、目論見書や販売会社の案内を確認する必要があります。
価格の決まり方はどう違う?
ETFには市場価格と基準価額がある
ETFには主に2つの価格があります。
- 市場価格:取引所で売り手と買い手の需給によって決まる価格
- 基準価額:ETFが保有する資産の価値をもとに計算される1口当たりの純資産価値
投資家が取引所でETFを売買するときに使うのは市場価格です。
ETFには市場価格と基準価額の差が大きくなりにくい仕組みがありますが、常に一致するわけではありません。市場の混乱時や売買の少ない銘柄では、市場価格が基準価額を上回ったり、下回ったりすることがあります。
日本取引所グループも、市場価格は需給で決まるため、基準価額から一時的に乖離する可能性があると説明しています。日本取引所グループ「乖離をチェックする」
ETFを売買するときは、市場価格だけでなく、基準価額や売買状況も確認すると判断しやすくなります。
投資信託は原則1日1回の基準価額で取引する
一般的な投資信託では、保有資産の時価から費用などを差し引いた純資産総額をもとに、基準価額が原則として1日1回算出されます。基準価額の決まり方や変動要因、高い・安いの見方は、投資信託の基準価額とは?で詳しく解説しています。
多くの場合、注文時点では適用される基準価額がまだ分かりません。注文後に算出される基準価額で購入・換金が成立します。
なお、基準価額が5,000円の商品が、1万円の商品より割安とは限りません。設定時期、分配実績、表示口数などが異なるため、基準価額の高さだけでは商品を比較できない点に注意が必要です。
手数料・保有コストの違い
ETFは一般的な投資信託より信託報酬が低い傾向にあります。ただし、「ETFなら必ず安い」とは限りません。
低コストのインデックスファンドも増えているため、同じ投資対象の商品同士を比べる必要があります。
ETFで確認したい費用
- 証券会社の売買手数料
- 保有中に差し引かれる信託報酬
- ファンドの運営にかかった経費
- 買い気配と売り気配の差であるスプレッド
- 外国ETFの場合は為替関連費用など
売買手数料が無料でも、保有中の費用やスプレッドまでなくなるわけではありません。
投資信託で確認したい費用
- 購入時手数料
- 保有中に差し引かれる信託報酬
- 監査費用や売買費用などのその他の経費
- 換金時にかかることがある信託財産留保額
購入時手数料がかからない「ノーロード」の商品もありますが、保有中の費用まで無料という意味ではありません。
比較するときは、購入時手数料だけでなく、信託報酬や経費率など、保有中に継続してかかる費用も確認しましょう。
分配金と再投資の違い
ETFも投資信託も、商品によっては分配金を支払います。
一般的な投資信託では、分配金を現金で受け取るコースと、同じ投資信託へ再投資するコースを選べる場合があります。
ETFの分配金は通常、現金で受け取ります。再投資したい場合は、受け取った資金で自分で買い付けるのが基本です。分配金が最低購入金額に届かず、すぐに全額を再投資できないこともあります。
また、分配金は預金の利息とは異なります。ファンドの資産から支払われるため、分配後はその金額が基準価額や純資産価値を下げる要因になります。
分配金の多さだけで判断せず、価格や基準価額の変化を含めたトータルリターンで確認することが大切です。資産運用業協会も、分配金が高くてもトータルリターンが高いとは限らないと説明しています。資産運用業協会「分配金・換金/償還の知識」
NISAではどちらを選べる?
NISAでは、対象となるETFと投資信託の両方を購入できます。ただし、すべての商品が対象になるわけではありません。
NISAには次の2つの枠があります。
- つみたて投資枠
- 成長投資枠
つみたて投資枠では、長期・積立・分散投資に適するとして、金融庁の基準を満たした商品が対象です。対象ETFもありますが、一般的な投資信託より選択肢は限られます。
成長投資枠では、対象となるETFや投資信託を購入できます。一方、毎月分配型や一定の高レバレッジ型商品など、対象外の商品もあります。
対象商品は更新される可能性があります。購入前には、金融庁や利用する金融機関の最新情報の確認が必要です。金融庁「つみたて投資枠対象商品」
NISAを使っても、値下がりや元本割れの可能性がなくなるわけではありません。
S&P500に投資するならETFと投資信託のどちら?
S&P500への連動を目指す商品には、ETFと一般的な投資信託の両方があります。同じ指数に連動していても、注文方法、取引価格、最低購入金額、分配金の扱い、自動積立への対応は同じではありません。
毎月決まった金額を自動で積み立てたい場合は、金額指定や再投資に対応した投資信託が使いやすいことがあります。一方、市場価格を確認して指値注文などで売買したい場合は、ETFが目的に合うことがあります。
どちらが必ず有利とはいえません。連動対象が同じでも、信託報酬などの費用、指数との連動精度、売買のしやすさ、分配方針を商品ごとに比べましょう。指数の仕組みや注意点は、S&P500の初心者向け解説で確認できます。
こんな人にはETFが向きやすい
- 市場価格を見ながら売買したい
- 指値注文を使いたい
- 株式の注文方法に慣れている
- 分配金を現金で受け取りたい
- 自分で再投資を管理できる
- 売買高や気配値を確認できる
- 特定の指数や資産へ機動的に投資したい
ただし、価格をリアルタイムで確認できることが、必ず良い運用結果につながるわけではありません。短期的な値動きに反応して売買を繰り返すと、当初の投資方針から外れることもあります。
こんな人には投資信託が向きやすい
- 毎月一定額を自動で積み立てたい
- 少額から始めたい
- 指値注文や購入口数を管理したくない
- 分配金の再投資を自動化したい
- 日中の価格を頻繁に確認したくない
- NISAのつみたて投資枠を中心に利用したい
ただし、投資信託であれば何でも長期投資に向くわけではありません。投資対象、信託報酬、分配方針、運用方法を商品ごとに確認する必要があります。
初心者はどちらがよい?
初心者にとって大切なのは、「どちらがもうかりやすいか」ではなく、無理なく理解・継続できる方法を選ぶことです。
定額積立を自動化したい場合
次の条件に当てはまるなら、一般的な投資信託が使いやすい可能性があります。
- 毎月5,000円、1万円など決まった金額を積み立てたい
- 購入口数を毎回計算したくない
- 日中の値動きを頻繁に確認したくない
- 分配金が出る場合は再投資を自動化したい
- つみたて投資枠を中心に使いたい
特に、低コストで幅広い資産へ分散するインデックスファンドは、長期積立の候補として比較しやすい商品です。ただし、連動対象や費用は商品ごとに異なります。
自分で価格を決めて売買したい場合
次の条件に当てはまるなら、ETFが使いやすい可能性があります。
- 市場価格を確認して注文したい
- 指値注文を使いたい
- 株式の売買方法を理解している
- 分配金や再投資を自分で管理できる
- 売買高、気配値、価格乖離を確認できる
- 投資したいETFが明確に決まっている
ETFは自分で注文を管理できる一方、その自由度が売買回数の増加につながることもあります。
迷ったときの判断順序
- 何へ投資する商品か
- 長期保有か、機動的な売買か
- 毎月の自動積立が必要か
- 分配金の再投資を自動化したいか
- 購入時・保有中・売却時の費用はいくらか
- NISAの対象商品か
- 値下がりや為替変動をどこまで受け入れられるか
長期の定額積立を簡単に続けたいなら投資信託、価格を見ながら自分で注文したいならETFが使いやすい、というのが基本的な整理です。
ただし、最終的な運用結果を左右するのは、ETFか投資信託かという形式だけではありません。投資対象、費用、保有期間、売買行動も重要です。
3つのケースで選び方を確認
ケース1:毎月1万円を自動で長期積立したい
日中に価格を確認せず、毎月同じ金額を自動で積み立てたい場合は、金額指定・自動積立・再投資に対応した投資信託のほうが管理しやすいことがあります。比較時は、投資対象、信託報酬、総経費率、分配方針、NISA対象かを確認します。
ケース2:価格を指定して自分で売買したい
取引時間中に市場価格を確認し、指値注文を使いたい場合はETFが候補になります。この場合は信託報酬だけでなく、売買高、スプレッド、市場価格と基準価額の乖離、最低売買単位まで確認します。低コストでも売買条件が自分に合わなければ使いやすいとは限りません。
ケース3:同じS&P500連動商品で迷っている
連動対象が同じなら、ETFか投資信託かという名称だけで決めず、実質的な保有コスト、指数との連動状況、積立方法、分配金の扱い、NISAでの利用可否を同じ条件で並べます。長期積立の自動化を優先するのか、注文価格を自分で管理するのかによって選びやすい形式が変わります。
Market AIでは、商品形式より先に「何へ投資するか」を確認し、その後に費用・売買方法・積立・分配・税制・リスクの順で比較します。この順序にすると、ETFか投資信託かという違いだけで投資判断を単純化しにくくなります。
ETFと投資信託についてよくある質問
ETFも投資信託の一種ですか?
はい。ETFは「上場投資信託」であり、投資信託の一種です。一般的な投資信託との大きな違いは、証券取引所へ上場し、取引時間中に市場価格で売買できることです。
ETFとインデックスファンドは同じですか?
同じ意味ではありません。インデックスファンドは、日経平均株価やS&P 500など、特定の指数への連動を目指すファンドです。ETFにも一般的な投資信託にもインデックス型があります。また、ETFには運用方針に基づいて銘柄を選ぶアクティブ型もあります。
ETFでも積立投資はできますか?
証券会社や商品によっては可能です。ただし、金額指定か口数指定か、最低購入金額、対象銘柄などの条件は金融機関によって異なります。一般的な投資信託のほうが、毎月一定額の自動積立に対応しやすい傾向があります。
ETFは投資信託より必ず手数料が安いですか?
必ず安いとは限りません。ETFは信託報酬が低い傾向にありますが、売買手数料、スプレッド、外国ETFなら為替関連費用も確認する必要があります。
投資信託にも、購入時手数料がなく、信託報酬の低い商品があります。同じ投資対象の商品を同じ保有期間で比較することが大切です。
ETFと投資信託はどちらが安全ですか?
商品の形式だけで安全性は決まりません。組み入れている資産、地域や銘柄の分散、為替変動、価格変動などを確認する必要があります。ETFにも投資信託にも元本割れの可能性があります。
NISAではETFと投資信託のどちらを選べばよいですか?
自動積立や少額の金額指定を重視するなら投資信託、市場価格を見ながら注文したいならETFが使いやすいことがあります。どちらも対象商品に限られるため、利用する投資枠と金融機関の最新の商品一覧の確認が必要です。
S&P500はETFと投資信託のどちらでも買えますか?
S&P500への連動を目指すETFと投資信託の両方があります。指数は直接購入するものではなく、連動商品を通じて投資します。費用、積立方法、分配方針などを比較して選びましょう。
ETFと投資信託を両方持つ意味はありますか?
投資目的や投資対象が異なる場合は、使い分ける方法があります。たとえば、長期積立を投資信託で行い、別の資産やテーマへの投資にETFを使う方法です。
一方、たとえばS&P500連動ETFとS&P500連動投資信託を両方持っても、組入資産がほぼ同じなら投資先は大きく重複します。商品数を増やすことが、そのまま分散投資になるとは限りません。
元本保証はありますか?
ETFにも投資信託にも、原則として元本保証はありません。組み入れた株式や債券、為替などが動けば、市場価格や基準価額も変動します。分散投資をしても、価格変動リスクがなくなるわけではありません。
まとめ
関連情報:投資信託・ETF完全ガイドでは、投資信託とETFの基礎をテーマ別に整理しています。
ETFと一般的な投資信託の最大の違いは、証券取引所に上場しているかどうかです。
書籍で補足したい場合の参考情報:目的別のおすすめ投資本ガイドでは、投資信託・ETFを学ぶ書籍を目的別に整理しています。
ETFは、取引時間中に市場価格を見ながら指値・成行注文で売買できます。一般的な投資信託は、原則1日1回算出される基準価額で取引し、定額積立や分配金再投資を利用しやすい傾向があります。
- 毎月一定額を自動で積み立てたい
投資信託が使いやすい - 市場価格を見ながら自分で注文したい
ETFが使いやすい - 費用を抑えたい
商品ごとの信託報酬、経費、売買コストを比較する - NISAを使いたい
利用する枠と対象商品を確認する
どちらか一方が、すべての人にとって優れているわけではありません。投資対象、費用、積立方法、管理できる手間、許容できるリスクを比べ、自分が継続しやすい方法を選ぶことが大切です。
関連情報として、投資初心者ガイドでは投資の基礎を順番に整理しています。
この記事の作成・確認方針
執筆・編集:Market AI編集部
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